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・歌詞
・イラスト
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・歴史補足
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② 曲で感情を追体験
③ Appendixで世界観を深掘り
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劇中歌1 『 鉛色の風の中で ~命のバトン~ 』(翔ボーカル) - 迷いの中の灯 -
劇中歌2 『 風の向こうの光 ~時を越える舞~ 』(翔ボーカル) - 風と光と温もり -
劇中歌3 『 シクラメンの三姉妹 祝詞と横笛と神楽 』 - 祈りと舞い -
劇中歌4 『シボの呼吸』 (翔ボーカル) - 耐えた息 -
劇中歌5 『 丹後の祝祭 ~山海(さんかい)の恵み~ 』
- 山の笑い海の舞 -
劇中歌6 『 秋祭の太刀振り 』 - 里の守り人 -
劇中歌7 『 二つの守り 』 父と息子の別れ
- 時と価値感 -
劇中歌8 『 波濤(はとう)を越えて 』 - 浪速へむかう -
劇中歌9 『 シクラメン三姉妹 』 - 路地裏に咲く -
劇中歌10k 『 兄の背中~油まみれの贈り物~ 』 - 頼もしい兄 -
劇中歌10r 『 赤きシクラメンの若大将(リーダー) 』 - リーダー -
劇中歌10p 『 天満桜の三味線ブギ 』 - エンターティナー -
劇中歌10w 『 一銭焼きの人間交差点(スクランブル) 』 - 逆境の糧 -
劇中歌11 『 天満橋の川風にゆれる洗い髪 』 - 風にゆれる -
劇中歌12 『 天神祭 いとさんの武勇伝 』 - 優しい強さ -
劇中歌13 『 米騒動、嵐の中の仁王立ち 』 - 信用と誇り -
劇中歌14 『 丁稚(でっち)どんの春 』 - 率先の手本 -
劇中歌15 『 丁稚(でっち)どんと浪花の母ちゃん奮闘記 』 - 預かった命 -
劇中歌16 『 生きてるだけで丸儲け ~焼け跡のブルース~ 』 - 生き残る -
劇中歌17 『 なかんちゃと太鼓持ちと三人の男たち 』 - マウント合戦 -
劇中歌18 『 氷の蝶(バタフライ) ~満州ラプソディ~ 』
- 追われた故郷 -
劇中歌19 『 笑うてナンボ! ~大阪ブギウギ診療所~ 』 - 笑いの力 -
劇中歌20 『 なかんちゃの 異国の雪と浪花の長屋 』
- 福が来る -
劇中歌21 『 太鼓と三味線 ~なかんちゃの 浪花ジャズ~ 』 - 浮世の檜舞台 -
劇中歌22 『 小さいまさと太鼓持ちの叔父 』 - 凍てつく星たち -
劇中歌23 『 黄金色(こがねいろ)の天満橋 ~ふたりの一銭焼き~ 』
- トメちゃん -
劇中歌24 『 ガリ版ラプソディ vs 薔薇のソナタ
』 - ライバル -
劇中歌25 『 散る桜、残るシクラメン 』 - 歩き続ける -
劇中歌26 『 こいの終戦 医療活動 』
- 命に上も下もない -
劇中歌27 『 テツと白衣のブルース 』 - 閉ざされた心 -
劇中歌28 『 白きシクラメン ~祈りの手~ 』
- 天にゆだねる -
劇中歌29 『 神の庭 ~白きシクラメンの祈り~ 』
- 利他の重さ -
劇中歌30 『 白きシクラメンこいさんから翔への命のバトン 』 - 命のバトン -
劇中歌1『 鉛色の風の中で ~命のバトン~
』(翔ボーカル)音源MP4
4:43 (s01)
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ホルマリンの匂い 分厚い教科書 すり減っていく 情熱の輪郭
「命」という名の 重すぎる荷物に 押しつぶされそうで 立ち止まっていた
そんな夜に開いた 古いアルバム セピア色の長屋の前に立つ 白衣のあなた
我欲を捨てた その聖なる眼差しが 迷いの中にいた僕の胸を 真っ直ぐに射抜いた
「継ぎなさい」と差し出された 無言のバトン
「おいで、ここへ」と 夢の奥で呼ぶ声 導かれるように 僕は汽車に乗った
鉛色の空 吹き付ける日本海の冷気 降り立った無人駅は 僕の知らない世界
凍える頬を打つ 重い風の中で なぜか僕の心は 小さな灯(ひ)をともしていた
獣道のような参道を 息を切らし登る 辿り着いたのは 朽ち果てた鳥居と社(やしろ)
屋根は落ち 柱は白く乾いているのに ここがあなたの 始まりの場所
初めて来たはずなのに どうしてだろう 胸の奥をぎゅっと 締め付けるような
いとしくてたまらない 懐かしさが溢れてくる
静かに目を閉じた瞬間 冷たい海風が止んだ 潮の匂いのかわりに 清々しいヒノキの香り
そして、ふわりと漂う ほのかに甘いおしろい……
シャン、シャンと 耳の奥で鳴り響く鈴のネ! 朽ちた社(やしろ)が今 鮮やかな色彩を取り戻す
越えてきた時代 繋いできた愛と芸と命 あなたの生き様が 僕の血を激しく震わせる
運命は、自ら創るものだと! 受け取ろう この誇り高きバトンを
鉛色の風の中で 幕は静かに上がっていく
ここから始まる 三姉妹の物語 僕の中で……永遠に響き続ける……
劇中歌2『 風の向こうの光 ~時を越える舞~
』(翔ボーカル)音源MP4
3:54 (s02)
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色をなくしたやしろに 風だけが残っていた けれど確かに聞こえた 遠い日の鈴の音
消えたはずの時間が 胸の奥で息をする あの舞は まだ終わらない 誰かが覚えている限り
祈りは 風を越えて 今もここで揺れている 目に見えない光でも 確かに届いている
あなたのぬくもりが この手に残っている
小さな白い袖が 秋の空を切り取る 流れる雲の奥に あなたと星が光る
僕はまだ知らなかった 守るって どういうことか あの舞は まだ続いてる 色を失くしたあとも
消えないものがあると あなたが教えてくれた いつの日か 僕もまた 誰かの灯(ともしび)になるなら
この風を受け継いで 歩いてゆけるだろう
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劇中歌3 『 シクラメンの三姉妹 祝詞と横笛と神楽
』 音源MP4
3:56 (s03)
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千早振(ちはやぶ)る 神の御前に 白妙の 袖をかさねて
紅(くれない)の 袴さばきも 鮮やかに 花と舞い散る
シャン シャンと 鳴るは神楽の 鈴の音か 乙女の笑みか
あな尊(とうと) あな美(うる)わしき 大和の春の あけぼのよ
言霊(ことだま)は 風に乗りたり 父君(ちちぎみ)の 深き祈りと
母君(ははぎみ)の 吹く横笛の 清らなる 音(ね)の調和(しらべ)よ
天(あめ)が下 光あふれて 榊葉(さかきば)も 露に輝く
とこしえに 幸あれかしと 願う心は ひとつなり
幼な子の つぶらな瞳 映(うつ)る日の なんとまぶしき
姉様の その後ろ姿(せな) 追いかけて 夢を紡(つむ)がん
神あそび 庭に満ちたり 嵐など 知らぬ社(やしろ)に
咲き誇る 五つの命 凛(りん)として 今ぞ輝く
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劇中歌4 『シボの呼吸』 (翔ボーカル) 音源MP4
4:04 (s04)
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押さえ込まれた 糸の声 闇夜(やみよ)の中で 静かに震えてる
冷たい冬の湿りに 抱かれながら まだとけないまま 息をひそめて
ギリギリまで ねじり上げられた痛み 熱を帯びて 元に戻ろうとする力が
今、小さな波になる
揺れて 揺れて 光を返す 傷も迷いも 美しい形になる
限界まで耐えて ほどけるとき 糸は初めて 深く息をする
この丹後(とち)みたいに 強く やわらかく
重すぎる荷物に 縮こまった心 息継ぎの仕方も 忘れていた僕
でも、このプレッシャーは罰じゃない しなやかになるための 準備だったんだ
冬を越えれば 必ず春は来る 押さえた涙も いつか輝きに変わる
揺れて 揺れて 光を返す 傷も迷いも 優しい形になる
限界まで耐えて ほどけるとき 僕も初めて 深く息をする
この海みたいに 強く やわらかく
「命」の重さに 震えるこの手も シワにならない 心のクッション(シボ)になる
誰かの痛みを 包み込めるように
揺れて 揺れて…… 僕もまた ほどけていく
冬の空の下 息をする……
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劇中歌5 『 丹後の祝祭 ~山海(さんかい)の恵み~
』 音源MP4
3:26 (s05)
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ようこそ旅人 風の国へ 長い冬越え 春がくりゃ
天橋立(あまのはしだて) 霞の帯よ 山肌染める 薄桃の桜
夏は白砂 裸足で駆けて 黄金(こがねいろ)にきらめく 日本海
潮風甘く 波は優しく 大漁祈る 舟がゆく
さあさあ、召し上がれ! 丹後のめぐみ! 山が笑えば 海も舞う
瑞々(みずみず)しい梨に 甘露の葡萄 黄金(こがね)の栗に 炊き立て新米!
神様がくれた 宝石箱さ この地の誇り 永遠(とわ)に響け!
北風吹いたら 宴(うたげ)の合図だ 波の花散る 荒海を越え
脂が乗った 幻のノドグロ! 冬の女王 香箱蟹(こうばこがに)!
冷えた体は 城崎(きのさき)の湯で 芯までぽかぽか 温めて
厳しい冬を 生き抜く力 笑顔と人情で 乗り越えるのさ
さあさあ、召し上がれ! 丹後のめぐみ! 山が笑えば 海も舞う
海のルビーだ カニすき鍋だ! 命の火を燃やせ 明日へ向かって!
神様がくれた 宝石箱さ 愛する丹後 永遠(とわ)に響け!
さあ、宴(うたげ)の幕開けだ!
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劇中歌6 『 秋祭の太刀振り 』 音源MP4
4:13 (s06)
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篝火の 影ゆらめきて 杉の梢 風にささやく
白妙の 衣ひるがえし 太刀ひとふり 闇を祓(はら)えば
あまつ神(かみ) 息をひそめて 降りたる 光きらめく
あな尊(とうと) あな清らけし 秋の社(やしろ)の 宵のまほら
天(あめ)の戸を 押しひらくごと 太刀の音(ね)は 空をわたれり
踏みしめる 地(つち)の鼓動に 祖(おや)の祈り 宿るがごとし
火(ほ)の粉 舞い 刃に映りて 金(こがね)色の 神気ゆらめく
とこしえの 守り人なり 村の願いを 胸に抱(いだ)き
舞い納め 太刀を伏せれば 風ひとつ 静かに渡る
神と人 境(さかい)うすれて ただひとり 影が立ちおる
子の瞳 憧れ宿し 明日(あす)を生く 道を照らせり
あな美(うる)わし 秋のまつりよ 太刀の舞に 神ぞ微笑(ほほえ)む
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劇中歌7 『 二つの守り 』 父と息子の別れ 音源MP4
4:56 (s07)
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潮(うしお)のかおる やしろの庭に 古(いにしえ)よりの 祈りあり
榊(さかき)ゆらして 鈴鳴らし ひとのこころを 清めゆく
徳は根にして 財(たから)は末(すえ) まことを守る この太刀(たち)よ
風にまぎれて 声ひびく 「人は善(よ)きもの」 とこしえに
煙たなびく みやこの空に あらたなる世の 音(おと)ひびく
鉄(くろがね)まわり 糸紡ぎ いのちをつなぐ わざとなる
守るかたちは 変われども 家族を想う こころ同じ
剣(つるぎ)を置きて 図をひらく 父の教えを 胸に抱(いだ)き
里の祈りと まちの灯(ひ)と 流れは分かれ 海へゆく
父のことばと 子のまこと 交(まじ)わらずして 響きあう
散るもさだめか 咲くも道 守りの道は 二つあり
やがてひとつの あさひとなり 国のいのちを 照らすだろう
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劇中歌8 『 波濤(はとう)を越えて 』 音源MP4
1:59 (s08)
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神に仕へし この身なれど 人の世の あわい闇には 勝てざりき
友と信じし あの笑顔 今はただ 寒き風と なりにけり
泣かないで あなた 失くしたものは 金(こがね)だけ
ここにある 三つの蕾(つぼみ) この子らが
私たちの 宝物
さらば若狭(わかさ) 古き社よ 波濤(はとう)を越えて 浪花へと
いざ行かん 命ある限り 凛と咲かせん 清き花
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劇中歌9 『 シクラメン三姉妹 』 音源MP4
2:21 (s09)
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夕焼け小焼け 路地の奥 シクラメンの 赤白ピンク
貧しさなんて 吹き飛ばせ 三姉妹の 笑顔咲く
古着を繕い 夢を語り 星空見上げて 明日を誓う
心ひとつに 乗り越えよう どんな時でも 手を取り合い 手を取りあい
時は流れ 街は変わる シクラメンの 花は咲き続ける
やさしい笑顔 胸に抱き 凛(りん)と歩まん
明日(あす)へ 向かって
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劇中歌10k 『 兄の背中~油まみれの贈り物~
』 音源MP4
4:12 (s10k)
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川霧抜けて 浪速(なにわ)の街へ 震える家族を 待っていたのは
油まみれの 分厚い掌と 「もう大丈夫や」と 笑う声だった
まだ見ぬ妹 その血のにじむ足 ひょいと背負って 歩き出す
親父の意地も 冷たい都会の風も 全部引き受けた でっかい背中
泣くな、こい ここは大阪や 生きるためなら なんでもできる
油の匂いは 俺の誇りさ この手で家族を 守り抜くから
頼れる兄貴が ここにいるで!
「元手がないなら これやろ母ちゃん!」 トンテンカンと 響くかなづち
たった一日で 組み上げた魔法 浪速っ子も驚く 一銭焼きの屋台
焦げるソースと 炒麺(チャーメン)の匂い チャリンと鳴る銭が 命を繋ぐ
建築屋の腕と 兄貴の知恵が どん底の家族に 火を灯(とも)した
粉もんや、母ちゃん ここは大阪や 笑って汗かきゃ 腹も膨れる
油の匂いは 俺の誇りさ この手で家族を 守り抜くから
頼れる兄貴が ついているで!
壁の薄い 六畳一間 内職で荒れた 母の指先
俺は悔しかった全部置いてきたこと せめて「母ちゃんらしさ」を取り戻したくて
給料切り詰め 昼飯抜いて 抱えて帰った 古い桐の琴
「中古で堪忍な」と 頭をかく兄に 母は涙こらえ 琴柱を立てた
六畳一間が 舞台に変わる 凛と響く音に 街の喧騒(ノイズ)も消えた
目に見えない「誇り」が ここにある
家族の魂を 繋ぎ止めた夜
泣くな、家族よ ここは大阪や どんなに貧しくても 心は売らない
ソースの匂いは 愛の証(あかし)さ この手でみんなの 未来を創る
頼れる兄貴の でっかい背中!
いつか恩返しを……誓う妹たち
トンテンカンと 響くかなづち 大阪の空に 明日が昇る
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劇中歌10r 『 赤きシクラメンの若大将(リーダー)
』 音源MP4
4:06 (s10r)
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「ええか、ようお聞き。強さっちゅうんは、弱いもんをいじめるためにあるんと違う。
守るためにあるんや! さあ、胸を張りなはれ!」
天満の橋から 吹き込む風に 揺るがぬ根を張る 赤き花
台所の水場から 這い上がり 気づけば店先の ど真ん中!
気難しい旦那も お嬢様も 機微を察して 粋な気配り
商いっちゅうのは 心と心 私が仕切れば 千客万来!
咲き誇れ! 情熱のシクラメン 父の胆力 母の知恵
血の気の多い 男衆だって 私の前じゃ ひざまずく!
ついておいで この腕の中に
浪速を束ねる 若大将(リーダー)や!
日が暮れりゃ 長屋の手習い所 読み書き、そろばん 叩き込む
騙されへんための 文字の力 自分の値打ちは 自分で守るんや!
悪ガキどもが 暴れた時は スッと手首を 掴んでニッコリ
力でねじ伏せる 野暮はしない 合気の風で 熱を冷ますんよ
咲き誇れ! 情熱のシクラメン 凛とした威厳 慈愛の胸
迷える丁稚(でっち)も 手代たちも 私が道筋 つけたげる!
ドカッと座れ この大きな船に
浪速を導く 若大将(リーダー)や!
綺麗に着飾る だけやない 誰より早く起き 最後に灯りを消す
泥水をすすっても 見失わない 家族を照らす 一番星になるんや
咲き誇れ! 情熱のシクラメン いつか来る暴動(あらし)も 恐れはしない
一歩も引かずに 暖簾(のれん)を守る 燃える度胸を 見せたるわ!
ついておいで この腕の中に
浪速を束ねる 若大将(リーダー)や!
「さあ、みんな! 今日も気張っていくで!」
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劇中歌10p 『 天満桜の三味線ブギ 』 音源MP4
1:24 (s10p)
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べベンと弾けば 春の風 大川沿いに 花吹雪
しかめっ面のおっちゃんも お腹を空かせた子どもらも
手拍子ひとつで えびす顔!
咲かせてみせましょ 路地裏で うちらは浪花の ど根性
泣くも笑うも 同じなら アホになって 踊らなソンソン!
ソレ、ジャンジャカジャンの ブギウギや!
お琴の音色も ええけれど うちの性分 こっちやねん
右へ左へ ステップ踏んで あなたの心に 花を咲かせる!
天満橋から 天下の台所へ 響けうちらの 笑い声
ソレ! ベンベンベンの 大喝采!
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劇中歌10w 『 一銭焼きの人間交差点(スクランブル)
』 音源MP4
2:45 (s10w)
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天満橋の路地裏で 夕陽に香るソースの匂い
尋常小学校 駆け抜けて 今日もお手伝い 店番だ
ハイカラ名前の「一銭洋食」 中身はニクやない スジコンや!
一個一銭 丸い幸せ 労働者(おっちゃん)たちの ご褒美さ
十銭玉なら お釣りは九銭! 頭のそろばん チャチャッと弾く
焼けるまでの 五分間 ここが私の 特等席
聞いて驚け 長屋の噂! 笑って泣いての 苦労話
しかめっ面も ほろりと解ける 一銭焼きの 人間交差点(スクランブル)
どんな偉い お医者より まずは心の コリをほぐすんよ!
月給(げっきゅう)三十円のタイピスト 日給(にっきゅう)一円の大工さん
家賃を払えば スッカラカン
それでもみんな 生きてるんや
おばちゃんのお喋り おっちゃんの愚痴 私の耳は パラボラアンテナ
歩き方から 口癖まで こっそり覚えて モノマネしよか!
泥臭くても 情けなくても 一生懸命 生きる人たち
そのシワの奥に 隠れた笑顔 似顔絵みたいに 焼き付ける
聞いて驚け 長屋の噂! 笑って泣いての 苦労話
白き花咲く その原点は ここにあったと 言えるでしょう
一銭焼きの 人間交差点(スクランブル) さあさあ、明日も 笑ってな!
「はい、お釣り五銭! まいどおおきに!」
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劇中歌11 『 天満橋の川風にゆれる洗い髪
』 音源MP4
1:53 (s11)
データ通信量:mp4 の withLyricsは約 9.6 MB, noLyrics は約 9.2 MB です。Wi‑Fi 環境でのご利用を推奨します。
天満橋の川風に 揺れる暖簾と洗い髪
お腹はすいても 心は錦 お天道様は 見てござる
いとさん ♪..
私は赤き 愛の色 冷えた手足を 温めましょう
なかんちゃ ♪..
私は桃色 愛嬌ひとつ 歌って踊れば 福が来る
こいさん♪..
私は白き 清らな心 誰かの痛みを 癒したい
寄り添い合えば 寒くない
私たちは 路地裏に咲く 篝火花(かがりびばな)
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劇中歌12 『 天神祭 いとさんの武勇伝 』
音源MP4
3:12 (s12)
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時は大正 夏盛り 水の都は 天神祭
大川うめる 船 船渡御(ふなとぎょ) 陸(おか)は夜店と 人の波!
そろい浴衣の 三姉妹 奉納花火 空に見て
赤に 桃色 白き花 そぞろ歩きの その先で
「おい、どこ見て歩いとんじゃ!」
野暮な男が 因縁つけて 老いた商人(あきんど) 突き飛ばし
足蹴(あしげ)にせんと する時に
「お待ちなさい! 神の御前(みまえ) 狼藉な!」
父に習いし 護身の合気
ねえちゃん 怪我をするぞと 酔った男が 突き出す腕(かいな)
舞うが如くに 投げ飛ばす 赤き浴衣が 宙に咲く!
(日本一! いとさん!)
助け起こせし その人は 天満に響く 大店(おおだな)の
主(あるじ) 三井田幸之助(みいだこうのすけ)
「なんと艶(あで)やか 大和撫子(やまとなでしこ)……」
商(あきんど) 眼力(めきき)が 光りけり
「理不尽を 見捨てておけぬ その気風 うちの暖簾の 守り神や!」
貧しき家に 嬉しい知らせ
父様母様 ありがとう 家族の笑顔に 送られて 赤きシクラメン 嫁に行く
路地裏 篝火花(かがりびばな)
一輪(いちりん) 鮮(あざ)やか 幸せに
(めでたい! Yeah!...)
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劇中歌13 『 米騒動、嵐の中の仁王立ち 』
音源MP4
3:26 (s13)
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米をよこせ! 隠すな商人 地獄の沙汰も 金次第か
腹が減っては 我慢もならぬ 打ちこわせ! 何もかも奪え!
怖いよ 怖いよ 怒りの波が 店の戸板を 叩き割る
ご寮さん 逃げましょう 奥へ 僕らは 飲み込まれてしまう
やかましい! 土足で上がるな! その足止めなさい ここは戦場じゃない
見るがいい 私の目を 後ろめたいことなど 何ひとつない
米問屋じゃない 呉服屋だ! 隠し事など ありはしない
疑うならば 蔵を見よ それでもやるなら やってみな
この暖簾(のれん) 指一本 触れさせぬ!
お兄さん その棒を下ろしておくれ あんたの怒り よう分かる
私も知ってる ひもじさを 長屋で震えた 夜のことを
ここを壊しても 米は出ない 泣くのは この子ら 奉公人
田舎に母を持つ 同じ貧しい子らなんや
……頼む、帰ってくれ
銭(ぜに)ならあるわ 持って行きな これは施し 結界(けっかい)や
お天道様は 見てござる
命よりも 重きもの それは信用 それは誇り
嵐は去りぬ 夕焼け空に 赤きシクラメン 凛と咲く
無事でよかった それだけで……十分や
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劇中歌14 『 丁稚(でっち)どんの春 』 音源MP4
1:49 (s14)
データ通信量:mp4 の withLyricsは約 9.0 MB, noLyrics は約 8.7 MB です。Wi‑Fi 環境でのご利用を推奨します。
「朝は早よから 雑巾がけ 水は冷たい あかぎれ痛い
へい! まいど! おおきに! 声を出さなきゃ 飯も食えぬ」
「泣いたらあかんで 男の子 その手の傷は 勲章や
お腹が空いたら ここへおいで 内緒の握り飯 塩の味」
「三井田屋の 赤き花 若ごりょんの 笑顔咲く
いつか立派な 番頭に なって恩を 返します」
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劇中歌15 『 丁稚(でっち)どんと浪花の母ちゃん奮闘記
』 音源MP4
2:21 (s15)
データ通信量:mp4 の withLyricsは約 11.2 MB, noLyrics は約 10.7 MB です。Wi‑Fi 環境でのご利用を推奨します。
朝は早よから 雑巾がけ 水は冷たい あかぎれ痛い
へい! まいど! おおきに! 失敗ばかりで 怒られる
「こらー! 何しとんねん!」
ああ、帰りたいな 故郷(くに)の空
メソメソするな 男の子 困った時は うちに言い
腹が減ったら 握り飯 泣くも笑うも 一緒やで
この店(うち)の敷居 跨(また)ぐからには
まかしとき! 大船に乗ったつもりでおれ!
わてはあんたの 大阪の母ちゃんや 血は繋がらぬと 言うけれど
縁があったら 家族も同然 皆そろって 面倒見るで!
「へえ! 若ごりょん! ついて行きます!」
三井田屋の 赤き花 嵐が吹いても 折れはせぬ
どんと来い! 明日(あした)へ 一等賞!
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劇中歌16 『 生きてるだけで丸儲け ~焼け跡のブルース~
』 音源MP4
2:07 (s16)
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瓦礫(がれき)の山に 雨が降る 守れなかった 約束が
胸に刺さって 泣いとるか 馬鹿な男や 顔上げな
あんたの命は あんただけの もんじゃない
あの子(謙一)の分まで 生きるんや 泥水すすって 這い上がれ
失くしたものを 数えるな 残ったものを 磨くんや
ここにあるやろ 熱い血が
生きてるだけで 丸儲け 死んだらあかんで 絶対に
笑って 食うて 喧嘩して 明日へ向かって 一歩踏め
わてらの勝負は これからや!
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劇中歌17 『 なかんちゃと太鼓持ちと三人の男たち
』 音源MP4
2:55 (s17)
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[八郎] 「さあさあ皆様! 今宵お見せするは、
満州一のグランド・レビュー! なかんちゃ姐さんと愉快な
旧友たちのステージ、開幕でっせ!」
俺たち 浪花の 中学育ち 今じゃ 満州 動かす三傑さ!
[エリート] 俺の頭脳(ソフト)で 街を創る!
[将校] 俺の武力(ハード)で 敵を討つ!
[成金] 俺の財力(マネー)で 夢を買う!
俺が一番! いや俺だ! 俺だ! 俺だ!
[なかんちゃ:お色気たっぷりに]
あらあら 殿方 喧嘩はおよし 昔の坊主頭が チラついてるわ
偉くなっても 根っこは同じ 威張るお顔は 似合わへんわぁ♪
――なかんちゃのバチが力強く糸を弾く。その音色に、しかめっ面だった将校の顔が少しずつ綻んでいく
ようこそ 桃色のパラダイスへ!
知恵も 力も お金も すべて 今夜は 脱ぎ捨てて 踊りましょ
しゃみの調べに ステップ合わせて
いがみ合うより 笑い合えば あんたが 一番の 男前!
――八郎がすかさず合いの手を入れ、座敷中からドッと笑い声と手拍子が巻き起こった
[八郎]ヨイショ! ヨイショ! 揃って並んで! 右足上げて 左足上げて!
オモロい! オモロい! 満州レビュー!
軍服揺らして 札束散らして エリート眼鏡も 吹き飛ばせ!
ようこそ 桃色のパラダイスへ!
シャンシャン 扇子が 舞い踊る
大階段を 降りてくるのは 笑顔輝く 最高のスターたち
「俺が俺が」の 鎧を脱いで
手を取り合えば 無敵のトリオ!
[なかんちゃ] 凍てつく 大陸(まち)でも
心に 春を 咲かせましょ 笑う門には なかんちゃが来る!
さあ、フィナーレよ!
踊れ! 歌え! 命の限り! 大阪生まれの 底力見せろ!
知・力・金 より 愛と笑いさ! 満州の夜空に 咲き誇れ
桃色のシクラメン フォーエバー!
[八郎] 「お後がよろしいようで!」
[華やかなオーケストラの大団円:ジャジャジャジャーン!!]
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劇中歌18 『 氷の蝶(バタフライ) ~満州ラプソディ~
』 音源MP4
2:32
(s18)
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ハルビンの雪は なぜ赤い ネオンのあかりが 滲むから
三味(しゃみ)を弾いても 心は寒い 笑う門には 福が来る
嘘や ほんまは 涙が来る
Ah... Volga... Ah...
Sakura...
帰れぬくにを 夢に見る
踊ろうよ 踊ろうよ 氷の上で 私たちは 飛ぶのを忘れた 籠の鳥
アン・ドゥ・トロワ ひ・ふ・み・よ
言葉違えど 痛みは同じ 散るを覚悟で 咲く花は
桃色 吐息 氷の蝶(バタフライ)
汽笛とともに 去るあなた 琥珀の中に 愛を閉じ込め
La La La... 忘れない
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劇中歌19 『 笑うてナンボ! ~大阪ブギウギ診療所~
』 音源MP4
2:08
(s19)
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[イントロ:八郎の口上]
「さあさあ寄ってらっしゃい見てらっしゃい!
万病に効く薬はここだ! 注射もいらぬ、薬もいらぬ!
必要なのは、その大きな口だけだ!」
[Aメロ:なかんちゃ]
しかめっ面して 何になる 眉間のシワに 福は来ぬ
お腹の底から ワッハッハ 笑えば細胞 踊り出す
免疫(めんえき)細胞 目覚めるぞ!
[Bメロ:八郎]
痛いの痛いの 飛んでいけ 笑いの魔法で 飛んでいけ
脳みそリラックス 深呼吸 昨日の涙は 今日の汗
ストレスなんかは 吹き飛ばせ!
[サビ:デュエット & 観客]
笑うてナンボや 人生は (ソレ! ワッハッハ!)
生きてるだけで 丸儲け (ソレ! ガハハハ!)
愛も希望も ここにある 響け高らか プラスエネルギー
大阪ブギウギ 笑いの花!
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劇中歌20 『 なかんちゃの 異国の雪と浪花の長屋 』 音源MP4
2:26
(s20)
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異国の雪も 見たけれど 咲かせた花も 夢の中
命からがら 戻りゃんせ やっぱり大阪 ここが好き! (Sore! Yoi-sho!)
お金がなくちゃ 生きられぬ? (No No!)
いえいえ 笑いがなくちゃ 生きられぬ! (That's Right!)
太鼓持ちさんと 世帯(しょたい)を持って あんたの太鼓に 合わせましょ
三味線 弾(ひ)けば 福が来る (A, Sore!)
長屋の隙間風 なんのその! (Huisan!) (Yo!
Otousan! Tanomu de!)
愛しい人と お茶漬けすすり 膝をポンと打ちゃ あうんの呼吸
笑う門には 福が来る! 咲かせてみせましょ 女の意地を
浪花のシクラメン なかんちゃ ここにあり! (Yeah!)
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劇中歌21 『 太鼓と三味線 ~なかんちゃの
浪花ジャズ~ 』 音源MP4
2:58 (s21)
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大陸の風 大連(だいれん)の雪 満鉄(まんてつ) 夢の跡(あと)
三味(しゃみ)を弾(はじ)けば 花が咲く 成金 軍人 袖にすりゃ
意地と度胸の バチさばき (Sore! Yoi-sho!)
ピンクの着物 翻(ひるがえ)し 私が咲けば 夜が明ける
満州 噂(うわさ)の 篝火花(かがりびばな) なかんちゃ ここにあり! (Fu-!)
(Yo! Otousan!)
隣で叩く 太鼓の音(ね)は 私の心 知り尽くす
野暮(やぼ)な客でも 笑わせる あんたは 日本一の 太鼓持ち
金(かね)はなくとも 芸がある (A, Sore!)
阿吽(あうん)の呼吸 合わせれば どんな嵐も 怖くない
あんたが太鼓で 私が三味(しゃみ) 浮世は 二人の 檜舞台 (Yeah!)
夢は破れて 国へ帰り 長屋の隙間 星を見る
お茶漬(ちゃづ)け すする 音さえも 今じゃ 愛しい 音楽さ
膝をポンと打ちゃ 笑い出す 貧乏 なんのその
生きているのが 丸儲け! 大阪 路地裏 春が来る
泣くも笑うも 一緒なら 笑って咲かせよ 女の道
響け 太鼓と三味線と なかんちゃ ここにあり! (Wasshoi! Wasshoi!)
ええコンビやなぁ! (Jyan!)
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劇中歌22 『 小さいまさと太鼓持ちの叔父 』
音源MP4
3:23 (s22)
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ねんころり 夜風が冷たいな 月明かりに照らされた 小さな手
昼間の笑い声は どこへ行ったんやろな みんな夢の中で 笑うてたらええな
まさ、大きくなれ 命を繋げ 人を助ける 優しい手になれ
おじちゃんの分まで 未来を照らして 笑うしかしゃあない 夜を越えていけ
哀しい時は 泣けへんのや 涙の代わりに 笑顔を作るんや
遠い空の向こう いてつく星たちに 届くように おどけてみせるんや
まさ、大きくなれ 命を繋げ 人を助ける 優しい手になれ
おじちゃんの分まで 未来を照らして 笑うしかしゃあない 夜を越えていけ
「さあ、もう寝ぇや。明日はまた、ハトをだしたるさかいな」
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劇中歌23 『 黄金色(こがねいろ)の天満橋
~ふたりの一銭焼き~ 』 音源MP4
4:06 (s23)
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秋の風吹く 校庭で 一等賞の ハチマキ揺れる
「こいちゃんは足が 速くてええな」
笑い合ったね 長屋の路地裏 下駄を鳴らして 夕暮れの街
二人で向かう 天満橋(てんまばし)
熱々の一銭焼き 半分こして モダンな鉄橋 もたれかかった
大川染める 夕陽の赤に
「きれいやな」って 目を細めたね
黄金色に光る 水面の向こう あの山の先が うちの故郷
一銭ぽっちの おやつだけれど どんなご馳走より 温かかった
ずっと一緒に 笑えると思ってた ふたりの天満橋
冬の嵐が 長屋を襲い 冷たい布団で 震える背中
「これ食べたら、きっと元気になるよ」
熱い包みを 胸に抱えて 私は走った 誰より速く
あなたを助けてと 扉を叩いた
大人の冷たい 背中を見て 砕けた心と 二重(ふたえ)の悲しみ
間に合わなかった 私の足じゃ 冷めた一銭焼き 涙で滲む
「ごめんね、ごめんね……もっと速く走れたら」
黄金色に光る 水面の向こう あなたが遠くへ 旅立つ空よ
悲しみ抱いて 私は誓う もう二度と誰も 見捨てはしない
あなたが好きだった 夕陽を背負って
私は走り続ける
これからも ずっと友だち あなたの分まで……生きるから
天満橋の夕陽 忘れない
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劇中歌24 『 ガリ版ラプソディ vs 薔薇のソナタ 』 音源MP4
3:16 (s24)
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白き塔に 咲く薔薇は 選ばれし者の 誇りなり
汚れなき手で 書を紐解き 高き理想を 追い求める
医学は 聖なる祈り 持たざる者が 触れる場所じゃない
お帰りなさい その薄汚れた場所へ
ガリ ガリ ガリと 鉄筆走る インクの匂いが 私の香水
あんたが本で 学ぶ間に 私はこの手で 知識を刻む
医学は 命の叫び 綺麗事じゃ 救えない
見てみなさい この泥だらけの指を
あなたには 無理よ
やってみなきゃ わからん
教科書がないじゃない
頭ん中に入っとる!
異なる道で 出会った二人 光と影が 火花を散らす
インクの黒と 絹の白 混ざり合わない はずなのに
なぜだろう 胸が熱くなる 同じ夢を見る ライバルよ
響け 命のシンフォニー
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劇中歌25 『 散る桜、残るシクラメン 』 音源MP4
4:46 (s25)
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白衣の袖に 朝日が差して 今日も誰かの 声を聞く
小さな鼓動と 不安な吐息 大丈夫だよと 手を重ね
歩いてきた 遠い道も 縫い上げた夜も 無駄じゃない
貧しい日々が 教えてくれた 人は人に支えられ 生きると
散る桜も 意味がある 残るシクラメンより 愛がある
涙はいつか 虹に変わる 命を守る そのために
お金がなくて 悔しい夜も 祈る足音 消えなかった
百度(ひゃくど)踏んだ 神社の石は 今も心の 道標(みちしるべ)
助けてもらい 生きてきたから 今度は私が 差し出す番
弱い人ほど 強くなれると あなたが教えて くれたから
散る桜も 意味がある 残るシクラメンより 誇りがある
明日はきっと 笑い合える日 命は繋ぐ 光だから
愛した人が 星になっても 約束はまだ 胸にある
あなたの分まで 生き抜くこと それが私の 答えです
歩幅は小さくても いいの 遠回りでも 構わない
今日も誰かの そばに立てたら それが私の 幸せです
散る桜も 意味がある 残るシクラメンより 未来になる
生きてください あなたの声が また誰かの希望に なるために
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劇中歌26 『 こいの終戦 医療活動 』 音源MP4
3:55 (s26)
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見上げれば 青すぎる空 もうサイレンは 鳴らないけれど
瓦礫の街に 響く泣き声 薬も水も 足りないこの場所で
泥だらけの白衣 汗をぬぐって 塩水で洗う 傷口と心
諦めないで 治る力は あなたの中にある 命の炎
泣かないで 小さな命よ ここは たこ焼き屋みたいな診療所
お腹を空かせた 迷子たちも さあ おいで ここが居場所だから
命に上も 下もない あなたが 未来を創る宝物
役所のドアを 叩き続けて きれいな水を 子供たちに!
お母ちゃんたち 水は沸かしてね どんな代用品でも 愛情は本物
大人はいつも 僕らを蹴った でも先生は ぞうすいをくれた
あんたらは助手や 胸を張りなさい! 笑って生き抜く 力を持て!
泣かないで 小さな命よ 共に生きよう この焼け野原で
涙拭いたら 立ち上がれる 手と手をつなぎ 明日へ向かおう
命に上も 下もない あなたが 未来を創る宝物
灰の中から 芽吹く白き花 シクラメンのように 凛と咲き誇れ
繋いでいくよ 愛と命のバトン ずっと ずっと 未来の果てまで……
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劇中歌27 『 テツと白衣のブルース 』 音源MP4
2:06 (s27)
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「俺は鉄屑(スクラップ) 錆びついた街の野良犬
きれいごとは ヘドが出る 白衣の天使? 笑わせるな
痛みを知らねえ奴に 何がわかる」
「命の値段を、あんたが決めるな!」
「あの日見た あんたの瞳(め)は 俺より強かった」
「泥の中でも 花は咲く あなたが水をくれるなら」
「鉄と白衣 奇妙な絆(きずな) 背中合わせで 歩いて行こう
この瓦礫の街に 愛という名の 灯(ひ)をともすまで」
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劇中歌28 『 白きシクラメン ~祈りの手~
』 音源MP4
4:16 (s28)
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鉄板 磨く 路地裏で 祖母(はは)の言葉が 火をつけた
「媚(こ)びずに生きろ 医者になれ」
針の痛みに 耐えた指 すり減る靴で 意志を磨き
白衣を纏(まと)い こう言った 「私は祈らぬ 手を動かす」
白きシクラメン 凛と咲く 若き日の 強き誓い
ただひたすらに 前を見て 命の道を 切り拓(ひら)く
愛しい人は 散りゆきて 大阪の空 赤く燃ゆ
検視を続ける 瓦礫の中 「なぜ私だけ 生き残る?」
人知を超えた 死を前に 動かした手は いつしか合わさり
静かな祈りへ 変わってた
生かされた この命 誰かのために 使い切る
深夜の闇も 厭わずに 神に頭(こうべ)を 垂れてゆく
富は留めず 川へ流し 未来の種に 水をやる
「ありがとう」 最期まで 世界に感謝 告げながら
白きシクラメン 種を遺し 愛と命の 系譜となる
母の背中を 忘れない
永遠(とわ)に咲き誇れ 白き花
ありがとう……
ありがとう……
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劇中歌29 『 神の庭 ~白きシクラメンの祈り~
』 音源MP4
3:36
(s29)
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三輪の神垣 雲居にて 白妙の衣 なびかせん 現世(うつしよ)の 垢を脱ぎ捨てて
今は 神の 巫(かんなぎ)となり 言霊(ことだま) さやけく 歌となり
五穀(ごこく)の 豊穣(みのり)を ことほげば シャン シャンと 鳴るは 鈴の音(ね)
とこしえの 平和(やすらぎ) 祈り舞う
そこは 真心 ある者の 魂(たま) 還り着く 神の庭 貧しきも 富めるも 隔(へだ)てなく
ただ 愛ひとつ 灯(とも)せし人 幾多(いくた)の 試練を 越えし者
人のため 世のため 尽くせし者 天(あめ)の扉(とびら)は 開かれん
光(ひかり)あふるる 場所へ
母の祈りは 風となり 我らを 包みて 守りゆく されど 忘るな 血の誓い
受け継ぐ バトンは 重きもの 利他(りた)の精神(こころ)を 絶やさずに
幸(さち)を あまねく 巡(めぐ)らせよ それが 残りし 者の道
凛(りん)と 歩まん 神(かみ)の地で
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劇中歌30 『 白きシクラメンこいさんから翔への命のバトン 』 音源MP4
4:21 (s30)
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雪の路地裏 咲いた花 白きシクラメン 凛として 「祈り」を「技(わざ)」に 変えた人
聴診器 あてた その胸に どんな痛みを 聞いたろう 愛する人を 亡くしても 誰かを救うと 誓った背中
時を超えて 響く声 「生きなさい」と 風が言う あなたの強さ あなたの愛 今 僕の脈を 打っている
鉛色した 風の中 朽ちた社で 知りました 僕がここにある 理由(わけ)を 託されたのは 名誉じゃない
震える誰かを 温める 見えない 熱き 血のバトン 時を超えて 繋ぐ手と手 「救いなさい」と 空が言う
小さな灯(ひ)でも 消しはしない その意志を 僕は 生きてゆく
(恐れないで…… 進みなさい……)
(私たちは…… ここにいる……)
シクラメン 愛の系譜 白き花から 未来へと
世界を癒(い)やす 医師になれ 命のバトン 今 受け取った
ありがとう 曾祖母(ひいばあ)ちゃん
見守っていて
脚注*1~*19 脚注*20~*39 脚注*40~*59 脚注*60~*79 脚注*80~*99
脚注*100~*119 脚注*120~*139 脚注*140~*159 脚注*160~*168
序章 第一章 第二章 第三章 第四章 第五章 第六章 終章 エピローグB
▢ 序章
*1 重い色:鉛色の冬の日本海の景観。シベリア寒気と湿った空気がぶつかり、海と空の境界が曖昧になって青みがかった鉛色に染まる。荒波と雪が重なるモノトーンな光景が続く季節。
*2 医学部二年:基礎教養から専門医学へ移行し、解剖・生理など膨大な知識を短期間で習得する必要がある。解剖実習なども始まり負担が急増し、進級試験の難度も高まるため留年が多い。勉強量と精神的圧力が一気に増す医学生の最初の壁となる。
*3 聖なる無私の悟り:自我を捨て真理に目覚め、迷いから解放される境地。釈迦の放棄に象徴されるように、執着を離れ、智慧と平穏に至る精神の完成を意味する。
*4 丹後:京都北部の日本海沿岸に広がる地域で、天橋立や舟屋、丹後ちりめんなどで知られる。自然と歴史、食文化が豊かな「海の京都」として親しまれている。この世とあの世が混ざる場所、神話が生まれる場所と考えられていた。
*5 浦嶋子:丹後本庄の若き漁夫で、亀姫に誘われ常世国で夢の三年を過ごすが、帰郷すると三百年が過ぎていた。玉手箱を開き姿を失う悲劇は、後の浦島太郎像の源流となった。
*6 神域:神が宿る神聖な空間で、鳥居や注連縄が俗世との結界を成す。依り代を含む清浄な一帯で、神道における厳かな場として尊ばれる。
*7 うらにし:晩秋から冬に日本海側で吹く湿った北西風で、晴れと雨が入れ替わる時雨が特徴。丹後などで知られ、「弁当忘れても傘忘れるな」と語られる季節風である。
*8 ホワイトアウト:冬の日本海では、うらにしと呼ばれる西寄りの強風が吹き、湿った空気が雪を巻き上げる。降雪と地吹雪が重なれば視界は一瞬で白く塗りつぶされ、ホワイトアウトとなる。海岸から山間まで、すべてが白に消える危険な気象だ。
*9 老ノ坂峠:京都市西京区と亀岡市の境にある標高約220mの峠で、古くは山陰道の要衝として栄えた。西側の大枝山には源頼光の酒呑童子伝説が残り、光秀軍も通過した歴史の道。現在は老ノ坂トンネルが主要ルートとなり、自然と史跡が今も残る。
*10 乗合馬車:大正期の老ノ坂峠では、明治14年開通の老ノ坂トンネルを通り、京都と亀岡を結ぶ乗合馬車が人と荷を運ぶ重要な交通手段として活躍していた。鉄道路線(山陰本線)はあるものの主要陸路として利用され、峠を登る馬車は当時の典型的な風景だった。
*11 蒸気船の外輪:蒸気機関で大きな水車状のパドルを回し水を掻いて進む推進装置で、浅瀬や河川航行に適し、初期の蒸気船で広く用いられた方式。
*12 冬の凪の美しい静寂:冬の日本海では、時化の合間に海風がピタリと止む瞬間がある。ふと訪れる冬凪の美しい静寂だ。西高東低の気圧配置が緩むと季節風がおさまり、海面は鏡のように凪ぎ、景色をそのまま映し出す。長くは続かぬが、厳しい冬に現れる奇跡の静けさである。俳句の冬の季語。似た季語として、「寒凪」や「凍凪(こおりなぎ)」など。
*13 黄金色:金のように赤みを帯びた輝く黄色で、稲穂や夕日を思わせる温かい色。豊穣や富の象徴とされ、金色より日常的で柔らかな伝統色として親しまれてきた。
*14 楽人:宮廷や寺社で雅楽を演奏する専門家で、平安期以降は家柄として伝承された。伶人とも呼ばれ、飛鳥・奈良時代から続く日本最古級の伝統音楽の担い手である。
*15 拝殿:神社の社殿の一つで、本殿の前方に位置し、参拝者が神を拝み、祭祀(祈祷や儀式)を行う建物です。神様が鎮座する本殿に対し、人がお参りするための場所であり、通常、賽銭箱が置かれています。
*16 巫女:神社で神職を補佐し、神楽奉納や授与所の務めを担う女性。古くは神を降ろす巫的存在だったが、現在は白衣と緋袴で神聖さを守り、神に仕える奉仕者として定着している。
*17 神楽:神社の祭礼で神に奉納される舞と音楽で、神を招き繁栄を祈る神人和楽が本質。天鈿女命の舞を起源とする、日本最古級の神事芸能である。
*18 祝詞:神道の祭祀で神職が唱える祈りの言葉で、言霊の力を宿すとされる。神徳を称え、災厄を祓い、健康や繁栄を願う荘厳な神前の表現である。
*19 神主:神社で祭祀やご祈祷、人生儀礼を行い、境内管理や授与品の準備などを担う神職で、神と人をつなぐ役割を果たす存在。
*20 剣のように真っ直ぐ:迷いなく信念を貫く清廉な心や、剣道のように軸が揺らがず垂直に伸びる姿勢を指す比喩で、強さと潔さを象徴する表現である。
*21 プレリュード:「前奏曲」や「序章」を意味し、本格的な展開に先立つ導入部分を指す語。音楽や物語で始まりを告げ、これから起こる展開への前触れとなる役割を持つ。
▢ 第一章
*22 引原峠:京都府京丹後市にある峠で、樹齢百年超とされる大銀杏が名所。秋には紅葉がライトアップされ、多くの人が訪れる人気の観賞スポットとして知られている。
*23 のどぐろ(アカムツ):喉が黒い高級魚で、脂が乗り「白身のトロ」と称される。日本海側で人気が高く、塩焼きや刺身、寿司で楽しまれ、濃厚でとろける旨味が特徴。
*24 香箱蟹:山陰~北陸地方で冬(11月上旬〜12月末)に水揚げされる、ズワイガニのメスの呼称です。小ぶりながら、濃厚な内子(未成熟卵)、プチプチとした食感の外子(成熟卵)、そして甘みのあるカニ味噌が絶品で、約2ヶ月しか味わえない「冬の味覚の女王」として親しまれています。
*25 波の花:冬の日本海の荒波で生じる白い泡の現象で、プランクトンの粘液が砕けて舞う姿が雪のように見える。新潟や能登で親しまれる冬の風物詩として知られる。
*26 城崎温泉:兵庫県豊岡市の名湯で、柳並木の街並みと七つの外湯巡りが名物。開湯千三百年の歴史を持ち、冬は松葉ガニや但馬牛も楽しめる風情豊かな温泉地として知られる。
*27 丹後ちりめん:丹後地方で三百年続く絹織物で、強撚糸を精練して生まれるシボが特徴。しなやかで染めの深みがあり、訪問着や小紋など高級着物の白生地として広く用いられる。
*28 シボ:素材表面に現れる細かな凹凸模様で、高級感や滑り止めの機能を持つ。織物では強撚糸を用いて加工し、縮緬のように細かな凹凸を生み出す技法として知られる。
*29 民宿:個人経営の家庭的な宿で、簡易宿所として営業する。地方の観光地に多く、和室や共同設備が一般的。地域食材の料理を手頃に楽しめるのが魅力とされる。
*30 割烹着:明治期に考案された袖付きエプロンで、着物を汚れから守るための衣服。広い袖とゴム口が特徴で、近年は綿やリネンの可愛いデザインも登場し実用着として再評価される。
*31 出雲:島根県東部の旧国名で、神話の舞台として知られる。八雲立つ地とされ、スサノオが宮を建てた聖地としても語られ、神々が集う場所として信仰を集めてきた。
*32 京丹後:京都府最北端の日本海沿いに位置し、六町合併で誕生した。山陰海岸ジオパークの景観や丹後ブルーの海、温泉や松葉ガニが名物で、「海の京都」を代表する観光地である。
*33 郷土史:特定地域の歴史や文化、地理、伝承を調査する分野で、地方史とも呼ばれる。地域の生活や風土に根ざした独自の歴史を明らかにし、その成果は刊行物としてまとめられる。
*34 熱燗:日本酒を約五十度に温めた燗酒で、香りが立ち旨味とコクが増す。後味は引き締まり、冬に好まれる飲み方として体を温める効果もあるとされる。
*35 猪口:日本酒用の小さな酒器で、徳利と組み合わせて使われる。陶磁器やガラスなど多様で、江戸期に普及。現代では香りや味を楽しむ器として親しまれている。
*36 神社合祀令:明治政府が進めた神社整理で、一町村一社を残し他を統合・廃止した政策。維持費削減と国家管理強化が目的で、約二十万社が十年ほどで半数以下に減った。
*37 氏神:住む地域を守る土地の神で、元は一族の祖神を指した。現在は産土神や鎮守とほぼ同義で、その神社を氏社、信仰する住民を氏子と呼ぶとされる。
*38 緯糸:織物で経糸に対し横方向に通す糸で、生地を形作る要素となる。経糸と交互に組み合わさり、布の風合いや柔らかさ、色合いなどを表現する重要な役割を担う。
*39 強撚糸:通常より強く撚りをかけた糸で、シャリ感のある肌触りと吸湿速乾性が特徴。毛羽立ちにくく強度も高いため、夏用スーツやニット、ちりめんなど清涼素材に広く用いられる。
*40 水撚り:糸を水に浸し湿らせて撚りをかける技法で、主に麻など天然繊維に用いられる。糸が締まり強度が増し、滑らかで涼感のある風合いを生むのが特徴とされる。
*41 力織機:蒸気機関や電動モーターで自動的に布を織る機械で、手機に比べ高速大量生産が可能。産業革命で普及し、日本では豊田佐吉が自動化を進め、現代の織物生産の主力となった。
*42 撚糸機:複数の原糸を撚り合わせて一本にする、糸に撚りをかけ強度を高める機械。耐久性や風合い、収縮性を調整でき、衣料用から産業資材まで幅広い糸の製造に用いられる。
*43 機械化と増産:近代化という時代の流れの中で、地域産業が手仕事から機械工業へと脱皮し、生き残りをかけて一大賭けに出た(莫大な投資をした)
*44 丹後国風土記:713年以降に編まれた丹後の地誌で、原本は散逸したが逸文から羽衣伝説・浦島伝説・天橋立神話などが伝わる。地勢や伝承、和歌を含み古代史研究に重要な資料となっている。
*45 神輿:神霊を乗せて地域を巡る「動く神社」で、奈良時代に登場。祭祀や厄除けのため担がれ、揺らすことで神の霊威を高め災厄を祓うと信じられている。
*46 渡御:祭礼で神霊を神輿や船に遷し、氏子の町を巡って平安と厄除けを祈る行事で、陸渡御や船渡御など形態がある。歴史用語では天皇のお出ましも指す。
*47 山車:祭礼で引かれる豪華な屋台で、神を迎える依り代や祭りを賑わせる舞台として使われる。神輿と異なり車輪で引き、人が乗って囃子や舞を奉じる。地域により曳山・鉾・だんじり・屋台など多様な呼び名がある。
*48 踊り屋台:祭礼で町を巡りながら上部で踊りや囃子・狂言などを披露する移動式の舞台で、露店とは異なり芸能奉納を目的とする伝統的な山車の一種です。
*49 太刀振り:関西・中国地方の祭礼で奉納される勇壮な舞で、刀や薙刀を振って神を祝う民俗芸能。丹後地方から伝わったとされ、地域によって「太刀踊り」とも呼ばれる。
*50 笹ばやし:京都北部に伝わる五穀豊穣や雨乞いの民俗芸能で、1669年の干ばつを契機に始まったとされる。多保市の笹ばやしでは、子どもが笹を振って堰を破る所作で恵みの雨を祈る伝統行事が行われる。
*51 三番叟:能『翁』から派生した祝祭的な舞で、天下泰平と五穀豊穣を祈る演目。力強い揉之段と鈴を持つ軽快な鈴之段が見どころで、能・狂言・歌舞伎などで格式高い祝いの舞として上演される。
*52 村の総代:集落を代表し神社の祭祀や運営、寺院の檀家業務を担う役職で、神社総代とも呼ばれる。氏子から選ばれ、神職を補佐し地域との橋渡しを務める名誉ある存在。
*53 古武道:明治以前に戦場や護身のため発展した実戦的武術で、剣術・柔術のほか槍や薙刀、杖、手裏剣など多様な武具を扱い、「生き残る技」を重視する伝統武芸の総称です。
*54 社叢:神社や寺院の社殿周囲に茂る森で、鎮守の森として古くから信仰の対象となる。自然林が残ることが多く、環境保全の面でも貴重な聖なる森とされている。
*55 飽食:日本の伝統的な収穫感謝の行事で、秋祭りの語源とされる。多く食べる意だけでなく、農耕社会で田の神に感謝を捧げる重要な儀式を指す言葉である。
*56 丹後ばらずし:甘辛く煮たサバのおぼろを酢飯に散らし、錦糸卵などを乗せる丹後の郷土料理。祭りやハレの日に食され、華やかで甘じょっぱい味わいが特徴の伝統食である。
*57 寺子屋:江戸時代に庶民の子どもが読み書きそろばんなどを学んだ私的教育施設で、寺院や知識人宅で個別指導が行われた。幕末には全国に数万規模で広まり、学習塾のような場となった。
*58 逢魔が時:夕方の薄暗い時間帯を指し、昼と夜が入れ替わる黄昏時とされる。この刻は魔物に遭うと信じられ、不吉な災いが起こると恐れられてきた時間である。
*59 白衣:宗教で僧侶の白下着や神職・巡礼の装束を指し、医師や看護師などの白い仕事着の意味も持つ。宗教ではびゃくえ、医療や衛生分野でははくいと読まれる。
*60 神が降りた合図:参拝時の突風や瑞雨などの自然現象として現れるとされ、風は歓迎と浄化、雨は汚れを洗う瑞雨として神仏の加護を示す吉兆と受け取られてきた。
*61 産土神(うぶすながみ):生まれた土地の守護神で一生の縁を持つ存在。氏神は今住む地域を守る神で、地域共同体の守護神。現代では両者が混同されがち。
*62 明治の合祀令:小規模神社を統合して国家神道を強化する政策で、約十年で全国二十万社の三分の一が廃され、祠や自然信仰の場が失われた。自然破壊と伝統消滅を懸念した南方熊楠らが強く反対した。
*63 祖霊:亡くなった先祖の霊で、時を経て子孫を守る祖霊神となると考えられる。神道では祖霊舎や霊璽に祀られ、お盆や年祭を通じて家庭の守り神として崇敬される。
*64 神気:神や自然に宿る神聖な霊気。鎮守の森や神社に満ちる清らかな気配を意味する。生命エネルギーとしての「気」を含む場合もあり、神聖な場に漂う力として捉えられる。
*65 冬の丹後が音の少ない:土地とされるのは、多雪による吸音効果で周囲の音が和らぎ、冷たく張り詰めた空気が雑音を抑えるためである。雪国特有の静寂が生まれる季節といえる。
*66 富国強兵:明治政府が欧米列強に対抗し独立国家を築くため掲げた近代化政策で、殖産興業や地租改正、徴兵令などで産業と軍事を強化し、不平等条約改正を目指した。
*67 徳:仁義礼智信などの優れた人格を指し、礼:その徳が敬意や節度ある行動として現れたものとされる。内なる徳が外の礼として具現化する関係にある。
*68 文武両道:学問と武芸やスポーツの双方に秀でて両立させることを指す言葉で、精神と身体の調和を重んじ、勉強と部活動を高い水準でこなす姿勢を称える際に用いられる。
*69 神前の心:参拝時に求められる清らかで誠実な心を指し、神道では浄明正直の理念が重んじられる。これは清く明るく正しく誠実な心で神に向き合う姿勢を示す。
*70 剣の心:武道で技と心が一体となった境地を指し、剣心一如ともいう。相手への敬意や礼節、正しい判断力を重んじ、自己を磨き続ける誠実な姿勢を求める思想である。
▢ 第二章
*71 機屋:機織りを職とする人や工房を指し、古くは機殿の意味を持つ。現代では小規模な織物生産者を指し、西陣織などでは染色から仕上げまで担う織屋を意味することもある。
*72 享保の昔:享保年間(1716〜1736)を指し、吉宗の享保の改革で倹約・新田開発・目安箱設置などが進み、江戸の町が整備された時代。後世には活気ある「古き良き時代」として懐かしんで語られた。
*73 西陣の技:先染めを基盤とする京都の高度な絹織技術で、図案・染色・織りの分業制により多彩な文様を生み出す。金襴や綴、唐織など多様な技法があり、深い色合いと立体感が特徴の伝統工芸。西陣高級織物は10〜50両で取引され、現在の価値では約100万〜750万円にもなる超高級品だった。
*74 海外で人気:丹後ちりめんは内需中心の時代を経て、近年はシボの立体感や光沢が評価され海外で人気を獲得。トップデザイナーの採用や小物展開が進み、世界へ発信が広がっている。
*75 日露戦争:1904〜1905年に日本とロシアが満州・朝鮮半島の支配を巡って戦った戦争で、日本が勝利しポーツマス条約で講和した。日本の大陸進出の転機となった。
*76 日露戦後恐慌(明治40年恐慌):戦勝景気の反動と1907年の米国発金融恐慌が重なって発生し、日本では株価暴落や資本流入減少により中小企業の倒産や銀行休業が相次いだ経済危機だった。
*77 大正初期の高利貸し:銀行融資が乏しい中で庶民が頼らざるを得ない存在で、利息制限法を超える法外な金利で貸し付ける業者を指す。小作農や零細商人の生活を支えつつ、深刻な社会問題にもなった。
*78 督促状:支払期日後も返済が確認できない際に送られる書面で、単なる催促より緊急性が高い。法的手段の前段階として債務者に支払いを強く求める重要な通知である。
*79 村八分:村落で掟を破った者に交際を断つ制裁で、火事と葬式を除く八つの付き合いを拒む。江戸期から昭和初期に行われ、現在では重大な人権侵害とされる。
*80 竹馬の友:幼い頃に共に遊んだ親しい友人を指し、深い信頼を示す語である。晋の桓温が殷浩に幼少期の竹馬を共有した仲と語った故事に由来するとされる。
*81 神職:神社で祭祀や社務を担う職で神主とも呼ばれる。宮司や禰宜などの職階があり、資格を得て儀式の執行や社殿管理、氏子との交流、各種祭礼を通じ神と人を繋ぐ役割を果たす。
*82 一町村一社:明治末期に神社を1町村1社へ統合した政策で、1906年以降に推進された。全国の神社の約3分の1が廃され、鎮守の森や地域の伝統が失われる大きな影響を及ぼした。
*83 火鉢:灰の上で炭を燃やして暖をとる日本の伝統暖房具で、昭和初期まで家庭で広く使用された。手あぶりのほか湯沸かしや簡単な調理にも使われ、煙が出ず柔らかな暖かさが特徴。
*84 代稽古:師匠に代わって高弟が門弟を指導する制度で、伝統芸能や武道で用いられる。師匠の負担軽減や基礎指導の充実、指導者育成を目的とし、段階的な稽古体系を支える役割を担う。
*85 ガバナンス:組織を健全に運営するための統治・管理の仕組みで、不正防止や公正な判断を支える枠組み。コンプライアンスはその中で守るべき法令、内部統制は現場で実行する具体的な管理プロセスを指す。
*86 大正期の木賃宿:持参した米を炊くための薪代(3〜12銭)だけで泊まれる簡素な宿で、雑魚寝の寝場所と火を貸す程度の最低限の設備。食事は自前で、安価ゆえ庶民に広く利用された。
*87 馬車を使う:大正期の老ノ坂峠では、京都と丹波を結ぶ難所を越える乗合馬車が盛んに利用され、運賃は1回20〜50銭ほどと鉄道(数十銭〜1円超)より格安。庶民の手軽な交通手段で峠越えの重要な足となっていた。
*88 街道整備:大正期の山陰道は、鉄道が未発達な街道を軍用道路として改修。峠道の傾斜が緩やかに整備され、荷馬車や乗合馬車の通行が容易になった。徒歩や駕籠の交通から物流と人の移動を近代化する過渡期。
▢ 第三章
*89 天満青物市場:大川沿いに位置した日本屈指の青物卸売市場で、堂島米市場・雑喉場と並ぶ大坂三大市場の一つ。江戸から昭和初期まで大阪の食を支え、「天下の台所」を象徴する重要拠点として機能した。
*90 雑喉場:大正期の大阪で西日本最大級の生魚市場。水運の便が良い江之子島や川口周辺に立地。京都など周辺地域へも新鮮な魚を供給し、堂島米市場や天満青物市場と並ぶ大阪の三大市場の一つで重要な物流拠点だった。
*91 堂島米市場:大正期に米価高騰と投機が激化した日本経済の中心で、江戸期以来の先物取引が発展し差金決済が広く行われた。物価変動と投機ブームが1918年の米騒動を招く要因となり、近代日本の市場構造を象徴する存在だった。
*92 職業婦人:大正〜昭和初期に都市部で教員・看護師、タイピストや電話交換手、デパート店員など近代的職業に就いた働く女性たちを指す。結婚後も働き自立を目指す新しい女性像として注目され、当時の憧れの存在。
*93 一銭焼:大正〜昭和初期に屋台で売られた1銭ほどの安価な軽食で、お好み焼きの原型。薄い小麦粉生地にネギや削り節をのせて焼き、ソースをかけて食べる素朴な味が特徴で、子供に人気の庶民的なおやつだった。
*94 箏:十三弦と可動式の琴柱を備え爪で弾く日本の伝統楽器で、柱を動かし音程を調整する。奈良時代に中国から伝来し、現在は琴と書かれることもあるが本来の名称は箏である。
*95 琴柱:箏や和琴の弦を支え音高を調整する可動式の支柱で、人の字形を成す。移動して調弦し胴に音を伝える。紅木や象牙などで作られ、兼六園の徽軫灯籠のモデルとしても知られる。
*96 琴爪:箏演奏で右手三指に装着し弦を弾く道具で、象牙やプラスチックなどで作られる。生田流は角爪、山田流は丸爪を用い、指に固定する爪輪とセットで使われる。
*97 小間物問屋:櫛や簪、紅や白粉、眼鏡などの化粧品や装飾品、日用雑貨を扱う卸商で、小間物屋に商品を供給した。江戸から近代にかけ流通を支えた専門的な商人である。
*98 おなごし:関西以西で使われた方言で、掃除や炊事など家事全般を担う女性の雇人を指す。昭和初期まで広く用いられ、男性の男衆に対する語として使われた表現である。
*99 奉公人:十〜十三歳ほどで丁稚として働き始め、修業を経て手代、番頭へと昇進した。手腕を認められればのれん分けを許され独立開業に至ることもある職業的成長の道筋。
*100 大正期の米騒動:1918年に米価高騰を背景に全国へ広がった民衆暴動で、富山の主婦の抗議が発端。買い占めや物価高で生活が逼迫し、内閣退陣を招いた社会的事件となった。
*101 真のリーダー:地位ではなくビジョンと行動で人を導き、信頼関係を築きながら仲間の力を引き出す存在。情熱ある未来像を示し、傾聴と相手本位の姿勢で支え、率先垂範し責任を負い、謙虚さと誠実さで周囲から尊敬を得る人物を指す。
*102 小唄:江戸末期に端唄から生まれた三味線伴奏の短い歌曲で、粋な歌詞と爪弾きの奏法が特徴。お座敷芸から発展し、江戸の情緒を映す大人の流行歌として親しまれた。
*103 三味線:細長い棹と皮を張った胴を持つ三弦を撥で弾く和楽器で、三線を基に室町〜江戸期に定着した。歌舞伎や浄瑠璃などで用いられ、サワリと呼ばれる独特の響きが特徴。
*104 大正期の桜の通り抜け:造幣局が市民に桜を開放した行事が大人気となり、1917年には約70万人が訪れる大阪屈指の春の名所として賑わいを見せた。
*105 毛氈:獣毛を圧して作るフェルト状の敷物で、茶席や寺院、ひな飾りに用いられる。特に赤い緋毛氈は高貴な色とされ、魔除けとしても親しまれる日本の伝統的な敷物である。
*106 撥:琵琶や三味線で弦をはじくへら状の道具や、太鼓を叩く棒状の道具を指す総称。弦楽器用は先端が広がった形で音をはじき、打楽器用は「桴」とも書かれ、力強い打音を生み出す。
*107 花街:芸妓や舞妓が芸や遊びでもてなす茶屋や置屋が集まる地域で、京都の五花街が代表的。かつては全国に存在し、現在は伝統芸能を継承する街として知られる。
*108 水垢離:祈願や参詣の前に冷水を浴びて心身のけがれを祓う修行で、主に修験道や民間信仰で行われる。滝行もその一種で、清浄な状態で神仏に近づくことを目的とする。
*109 姉芸者:花街で舞妓や新人芸妓を指導し相談役となる熟練の芸妓で、技能や生活面を支え一人前の芸妓へ育てる役割を担う。大切な存在であり花街の伝統を支える要でもある。
*110 大正期の高等女学校:現在の高等学校に相当。修業年限3〜5年(多くは4〜5年)で、良妻賢母教育が中心の女子の中等教育機関。進学率は約15%にとどまり、主に裕福な家庭の娘が通った。
*111 大正期の芸者衆の高級着物:数百〜1,500円と超高額で、小学校教員初任給50円の時代には家が建つほどの価値だった。現代換算で約500万〜1,500万円以上に相当。当時のサラリーマン数年分の年収に匹敵する贅沢品。
*112 大正期の芸者着物の仕立て代:10〜30円と高額で、現代換算で約10万〜45万円に相当した。一般女性の普段着の仕立てが数円だったのに対し、芸者衣装は特別な技術と手間を要する桁違いの高級仕立てだった。
*113 品格:所作や言葉遣い、思いやり、揺るがない心、教養が調和して生まれる内面的な気高さと上品さを指す価値である。
▢ 第四章
*114 天神祭:大阪天満宮で六月下旬から七月二十五日に行われる千年以上の歴史を持つ祭で、道真を慰める行事として続く。大川を進む船渡御や奉納花火が特に有名である。
*115 陸渡御:天神祭で神霊を乗せた神輿が氏地を巡り、街の繁栄と疫病退散を祈る行事。約3,000人の行列が練り歩く壮観な儀式。
*116 猿田彦:天神祭の陸渡御で神輿の先頭を進み、道を清めて先導する役。赤い天狗面に烏帽子、高下駄で馬に乗る独特の姿で行列を導く。
*117 天神祭の依代:菅原道真公の御神霊が宿る神聖な対象で、御鳳輦を中心に神鉾・神鏡・御幣、さらに疫病除けの御迎人形などが行列で神の存在を示し、巡行を支える重要な役割を担う。
*118 天神祭の神輿:天神さまの御霊を乗せて街と川を巡るもので、陸渡御では鳳神輿と玉神輿が中心となる。鳳神輿は野見宿禰の御霊を載せ約130人で担がれ、玉神輿は市場の氏子が守る。女性が担ぐギャルみこしも祭りを彩る。
*119 御迎船:人を迎える船の総称であり、天神祭では御迎人形を舳先に飾り神を迎える役を担う船。
*120 供奉船:天神祭の船渡御で奉安船に随行し、催太鼓や囃子を乗せて神霊を送り迎えする氏子の船。
*121 御鳳輦講:菅原道真公の御神霊を乗せた御鳳輦を奉安し巡行する氏子の講。陸渡御の中心を担う重要な奉仕団体である。伝統を守りつつ船渡御でも御鳳輦を奉仕し、祭りの根幹を支えている。
御鳳輦講:天神祭で鳳凰を頂く御鳳輦を奉仕・巡行する氏子の団体で、神霊を乗せた神輿の巡行を担う。
*122 触らぬ神に祟りなし:余計なことに関わらなければ災難を避けられるという教えで、怨霊を刺激しなければ祟られないとする御霊信仰が由来のことわざ。
*123 間合い:こちらの意図と相手の気を一つに結び、攻防が自然に流れる最適距離と間の感覚。
*124 古武道:実戦を基盤に、型を通じて全身を連動させる合理的技法を磨く。筋力に頼らず、最小の力で最大の効果を生む身体操作と心技の統一を重んじる。
*125 神官の血筋:神に仕え人々に尽くす奉仕の心と高い倫理観を受け継ぐもの。商いに不可欠な信用を体現し、共同体に恵みをもたらす存在として尊ばれる。
*126 米よこせ:大正7年の米騒動は、米の買い占めと物価高騰に苦しむ庶民が安売りを求めて起こした全国的な暴動。富山の主婦らの抗議が新聞報道で全国へ拡大。米屋や大地主の家を襲う打ちこわしや焼き討ちに発展した。
*127 シベリア出兵:ロシア革命後の混乱に介入し、日本を含む列強が派兵した事件。日本は大規模に駐留を続け孤立と国内不満を招き、1922年に撤兵した。
*128 米商人:物価高騰で生活が逼迫した民衆が、米を買い占め高値で売る米商人に押しかけ、米の放出と正当な価格を求めて叫んだ状況を象徴する言葉である。
*129 米騒動:シベリア出兵や商人の買い占めで米価が急騰し、生活を圧迫された民衆が富山の主婦らの抗議をきっかけに大正7年に全国で暴動を起こした事件で、米の安売り要求や打ち壊しが広がった。
*130 小柄:武術では小柄な者・非力な体格に劣る者を指す。合気の心得:間合いと呼吸で相手の力を無力化する技法をいう。筋力に頼らず大柄な相手を制する護身術として重視される。
*131 店の隅の煎餅布団:大正期の丁稚部屋は、商家に住み込む若い奉公人が寝起きする場所で、店の隅に設けられた質素な空間だった。薄い煎餅布団で休みつつ、業務待機や防犯も兼ねた生活の場で店の隅の煎餅布団と表現された。
*132 大福帳:江戸〜大正期の商家で使われた最重要の元帳で、掛け売りの未回収金や取引内容を記録する信用取引の要だった。商売繁盛を願う名が付けられ、和紙製で火事の際には命の次に守られたほど大切に扱われた。
*133 寺子屋:民衆から自発的に生まれた教育施設で、子供の能力に合わせた個別学習を行い、授業料も払えるだけでよかった。読み書きそろばんを中心に教え、庶民の高い識字率を支えた。
*134 招集・徴兵:国家が法律に基づき成年男子に兵役を課す制度で、志願制と異なり個人の意思に関係なく軍務に従事させる。日本では明治から1945年まで導入された。
*135 業火と再生:破壊の炎を経て新たな命や秩序が生まれる循環を表す。焼き尽くす痛みの先に、創造と希望が芽吹く物語的・宗教的象徴である。
*136 赤紙:一度兵役(現役)を終えて除隊した在郷軍人を再び招集する再召集令状で、兵事係が自宅へ届けた。強制力が強く、戦況悪化とともに多くの元兵が再び戦地へ向かった。
*137 古参上等兵:入営後2〜3年の熟練兵で、新兵指導や内務班の実務を担う。武器の取り扱いに長け、戦場では分隊の主力。徴兵期間を終え予備役に移る直前に多くはこの階級に到達する。
*138 陸軍予備士官:10代後半〜20代前半を中心に募集し、旧制中学卒程度の若年層を短期教育で予備役少尉・曹長へ育成した制度。昭和13年の予備士官学校令以降、本格的に養成が進められた。
*139 復員船:終戦後に海外から約600万人以上の軍人・民間人を帰還させた船で、旧海軍艦艇の武装を外し日章旗を掲げて運用された。
*140 バラック:英語のbarrackに由来し、震災後や戦後に建てられた粗末な仮設小屋を指す語で、災害住宅や建設現場の簡易建物にも用いられた。
▢ 第五章
*141 満州国:1932〜45年に中国東北部に存在した日本主導の傀儡国家で、溥儀を擁立し新京を首都とした。王道楽土を掲げたが実態は日本の植民地だった。
*142 満鉄(南満州鉄道株式会社):1906年に日露戦争後の利権継承を背景に設立された日本の国策会社で、鉄道経営を中心に炭鉱開発、都市計画、港湾整備、電気・ガス事業など多角的に事業を展開した。大連〜長春間の鉄道運営や調査部の研究活動を通じ、大陸経営の中核機関として機能した。
*143 馬賊:清末から戦時期の華北・満洲で活動した騎馬武装集団で、匪賊や自警団が起源。略奪と義侠の両面を持ち、日本人に大陸への夢を抱かせた存在でもあった。
*144 太鼓持ち(幇間):宴席で芸者と場を盛り上げる男性芸人・幇間の俗称で、話芸や踊りで客を楽しませた。現代では権力者に迎合する人を指す皮肉的な意味でも使われる。
*145 旧制中学校:戦前の男子向け5年制中等教育で、尋常小学校卒後に進学し、大学・旧制高校への進路を担った。戦後は新制高校へ転換し、女子は高等女学校が相当した。
*146 コテコテ大阪人:人情味と商売気、笑いの精神が濃く表れた大阪の典型的キャラクターで、派手さと大阪弁のテンポが特徴。お節介で距離が近く、値切りや駆け引きを楽しむ商売人気質と、会話に必ず笑いを求めるサービス精神が象徴的な人物像とされる。
*147 バラライカ:三角形の胴と三本の弦を持つロシアの代表的弦楽器で、17世紀に農民に広まり19世紀に改良された。名はウォッカベースの柑橘系カクテルにも使われる。
*148 王道楽土:満州国が掲げた建国理念で、武力ではなく仁徳による政治=王道で人々を治め、争いのない安らかな楽土を築くという理想を示したスローガンである。儒教思想を基盤にした平和的ユートピア構想を意味した。
*149 ソ連が動く:昭和20年8月8日ソ連が中立条約を破って対日参戦した出来事を指す。日本の終戦を決定づけた転換点だった。和平仲介を期待していた日本は裏切られ、ソ連軍の侵攻で満州の民間人や将兵が抑留され、多くが過酷な環境で命を落とした。
*150 根こそぎ動員:戦争末期の日本で兵力不足を補うため、学徒や女性、高齢者まで民間人を強制的に動員した措置。沖縄戦で住民が戦闘に巻き込まれ多くの犠牲を生んだ。
*151 仲間を置いて生き残ってしまった罪悪感:戦場で自分だけが助かったことへの不条理感や、自分が生き残った理由を問い続ける苦悩を指す。負傷者を置き去りにせざるを得なかった記憶などが深い自責となり、生涯消えない心の傷として残った。
*152 チンドン太鼓:鉦・締太鼓・大胴を一体化した歩行用の打楽器で、奏者が「チンチン」「ドン」と鳴らしながら練り歩き、町の注目を集める移動式の宣伝手段として使われた。
*153 おひねり:観客が演者への感謝や応援を込めて渡す金銭や品物で、紙や布で“ひねって”包んだことが語源。現代の投げ銭の原型とされる日本の伝統的な応援文化。
▢ 第六章
*154 お百度参り:病気平癒や合格祈願など切実な願いを叶えるため、同じ神社や寺院に100回参拝する民間信仰の願掛けで、強い祈りを神仏に届ける行為とされた。
*155 尋常小学校:6年制初等教育機関で、満6歳から12歳までが義務教育とされた。修了後は高等小学校や中等学校へ進学し、修身・国語・算術などを学んだ。就学率は98%超と高く、「尋常」は標準的教育を意味した。
*156 スジコン:牛すじとこんにゃくを甘辛く煮込む関西の郷土料理で、安価な牛すじを美味しく食べる工夫として大正期に生まれた料理とされる。
*157 一銭洋食(一銭焼):大正期に駄菓子屋や屋台で売られた、薄い小麦粉生地にネギや少量の具をのせて焼き、ソースを塗った1銭の軽食で、子供のおやつとして親しまれ、現代のお好み焼きの原型となった料理です。
*158 スペイン風邪:1918~1921年に世界人口の約3割が感染したH1N1型インフルエンザで、日本でも約2,300万人が罹患し39万人が死亡した。中立国スペインが被害を報道したためこの名が広まったが、発生源はアメリカと考えられている。
*159 魂呼び:死直後や瀕死の人の名を大声で呼び、離れた魂を呼び戻して蘇生を願う日本の民間信仰。土葬文化の霊魂観に基づき、屋根上や枕元で行われた。
*160 旧帝国大学:戦前の帝国大学令に基づき設立された国立の最高学府で、国家の近代化とエリート育成を担った大学群。現在も日本の教育・研究を牽引する難関大学として位置づけられている。
*161 古新聞:昭和の屋台で使われた「古新聞で包む」文化は、うぐいす紙でたこ焼きを直接包み、その外側を古新聞で巻くことで保温と吸湿を両立させる実用的な方法でした。プラスチック容器がない時代、新聞は断熱材として優れ、持ち帰りでも冷めにくく、蒸気を吸ってベチャつきを防ぐ役割を果たしました。
*162 大阪女子高等医学専門学校:大正15年(1926)10月設立願書提出、翌昭和2年(1927)2月設立認可。昭和3年(1928)に枚方市牧野の地に「大阪女子高等医学専門学校」として開校。
*163 謄写版(ガリ版):ロウ引き原紙を鉄筆で削って孔を作り、そこからインクを押し出して刷る孔版印刷で、19世紀末から昭和期に学校や資料の大量印刷に使われた。鉄筆の「ガリガリ」という音が別名の由来で、電気を使わずローラーで刷る素朴な風合いが特徴。
*164 日本初の普通選挙:1928年の衆議院選挙で実施され、納税要件が撤廃され満25歳以上の男性全員に選挙権が与えられた画期的制度だったが、女性にはまだ選挙権がなかった。
*165 ラプソディ:形式に縛られず自由で熱情的な音楽形式で、民族的・物語的要素や即興性を特徴とする。語源は古代ギリシャ語で『歌を縫い合わせる』を意味する。
*166 こんにゃく糊:こんにゃく粉の粘性を利用した天然の糊で、和紙に塗って揉み込むと強度・耐水性・しなやかさが増す。織物の糸のコーティングや藍染めの下地にも使われる伝統的な加工素材。
*167 お百度:社寺の入口と本殿を往復し祈願する百度参り。回数は必ずしも百に限らず、雑念を捨て一心に願う真心が重んじられる。
▢ エピローグB
*168 第一次大戦期の好景気:日本は欧州の供給停止を背景に輸出が急増し重化学工業が発展、債権国化と成金の出現を伴う未曾有の好景気を経験した。
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